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「今回私が皆さんにご用意したクリスマスプレゼント……。それは我が、ROANDOの来春からの目玉商品とする『光武ぬい式』です!」
いつの間にか用意されていたスポットライトに照らされて、加山は高らかにそう謳い上げた。<p>
それに合わせて、開演前にせっせと荷物を運び入れていた一団が、その荷物を持ってやってきた。<p>
ちなみに彼らの正体は月組隊員である。<p>
隊長の加山との打ち合わせ通りに、大神とレニを隠すようにしながら荷物を置いていく。<p>
「紐育で発売中の『完全変形STAR』に対抗すべく、ROMANDOの技術力の粋を集めて完成したのがこちらの『光武ぬい式』で、あちらが格好良さでくるならこちらは可愛らしさを押し出していこうということで……」
思いの外良くできている光武二式のぬいぐるみを見て、皆の興味が加山の方に一気に集中した。
(今だ、大神!レニさん!行けぇ!!)
加山は視線で大神たちにメッセージを送った。
だが、視線の先には既に二人の姿はなかった。
(やるようになったなァ、大神……。故人曰く「奇貨、居くべし」だ。俺が作った好機、逃すんじゃないぞ!)
二人がいなくなったことがバレるのを少しでも遅らせるため、加山はさらに声を張り上げた。
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