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 その少し前のお話。

 「ジャンポールにも新しいお友達ができたね〜!ねぇ、レニのはどんなの?……レニ?」

 最初に異変に気付いたのは、アイリスだった。

 (いかん、なんとかフォローを!)

 「あの二人ならさっき出て行っちゃいましたよ〜」

 加山が何か対策を講じようと思考をフル回転させるのと同時に、由利がアイリスの疑問への回答を口に出していた。

 (p>由里さん、気付いていたのか!?)

 「こら、由里!」

 (かすみさん、あなたもですか!?)

 「なんですって!?」

 「おいおい、隊長も隅に置けねぇな〜」

 二人の不在を知り、さくらは力強く立ち上がり、カンナは楽しげな笑いを浮かべる。

 「でも、パーティーの主役がいないというのは如何なものでしょう?」

 自分も神崎家での誕生パーティーを抜け出した前科持ちのすみれが、しらじらしくそう言うと紅蘭がそれに続く。

 「せやな〜、主役のおらんパーティーなんてつまらんからな〜」

 「みんな、落ち着きなさい」

 マリアが花組をたしなめようとするが、さくらとアイリスは止まらない。

 「そうですよ!主役を連れ戻しに行きましょう!!」

 「アイリスも行く〜!レニはアイリスのだもん!!」

 飛び出していった二人の後ろを、すみれ・カンナ・紅蘭の三人が追いかける。

 「探しに行く人数は、少しでも多い方がよろしいですわ」

 「それになんやおもしろそうやしなぁ〜」

 「行ってくるぜ〜、マリア」

 「ちょ、ちょっと、みんな、待ちなさい!」

 結局マリアもその後をついて行ってしまった。

 会場に残されたのは加山と月組、かえでに三人娘と米田、そして月組を含めた帝劇スタッフだけになった。

 「誕生パーティーの主役どころか、打ち上げの主役もいなくなっちゃたわねぇ……」

 「ま、大神もちったぁ男と女というもんがわかってきたってこったなぁ」

 「もう〜米田さん、飲み過ぎですよ」

 「あ、このお料理おいしい!」

 「ねぇねぇ、知ってる〜?実は……」

 「大変だなぁ〜、大神。頑張れよ……」

 主役がいなくてもそれなりに楽しそうな一同であった。

 

 「おう、加山!おめぇも飲め!」

 「えぇ、大いに飲みましょう!!」

 すっかりご機嫌になっている米田の誘いに、加山は快く応じる。

 「あの二人の行く道に……」

 「幸多からんことを……」

 「「乾杯!」」

 そう祈りながら、加山と米田は杯を空にした。

 太正桜に浪漫の嵐、花の大帝国劇場には今日も平和な風が吹く。



(あとがき)

 誕生日おめでとう、レニ!

 今回レニ生誕100周年の記念すべき星誕祭に何かできないかと思い、結果このような駄文を晒すに至りました

   しかし、気がつけばレニより加山がメインみたいになってました。

 レニを祝福したいという気持ちに嘘偽りはありませんが……あれ?

 念のためもう一度言っておきます、HAPPY BIRTHDAY Reni!!

   これからも幸せがあなたのもとに訪れ続けることを願って……

 

 追伸

 屋烏の愛とは「深く人を愛すると、その人に関係するすべてのものに愛情が及ぶこと」という意味です。

 筆者がレニを好きだからこそ、大神さんも加山も暴走したということで……




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